本日は主に相続分野を中心にお話を伺わせていただきます、よろしくお願いいたします。まずは、辻税理士のこれまでの経歴を簡単に教えてください。
国税職員としては、合計16年間勤務しましたが、内6年間は、税務署の資産税担当として、主に相続・贈与税、更には、不動産・株・金融資産等を売却したときの所得税についての相談・申告確認・税務調査を行ってきました。
相続税については、皆さん「どういったことが税務調査の対象となるのか」がとても気になるところではないかと思います。その相続税との関わりについて、より具体的にはどのようなものだったのでしょうか
ご家族の方がお亡くなりになり、相続税について税務署に相談に来られた方々に対して相続税の説明、相続税の申告の仕方をお伝えしたり、提出された相続税の申告書の内容の確認などを日々行っていました。また、亡くなられた方や相続人様のご自宅までお伺いし、相続財産の申告漏れ、また、申告誤りがあるかどうかを確認する相続税の調査を年間何十件も行ってきました。
国税職員の立場から見た相続税の実務について、どんなことが印象に残っていますか。守秘義務などに反しない一般的な内容で教えてください。
そもそも相続税は、一定の財産をお持ちであった方にしかかからない税金であり、税金がかかる相続の割合は、亡くなられた方の一割程度です。しかしながら、財産を多くお持ちの方にとっては、その税金の額は非常に高額となってきます。そのため、相続税の調査において、申告漏れや申告誤りが判明した場合、追徴される税金だけで何千万という額になることもあるなど、慎重に調査を行うことが要求され、その責任も重大でした。
漠然と相続税の心配をされている方も多いと思いますが、相続税がかかってくるのは一割程度なのですね。世間で相続税のニュースをよく目にするわりに、正直、結構少ないなという印象です。そこから、税理士として独立されるに至るわけですが、その経緯や心境はどのようなものだったのでしょうか
税理士としての独立にはいろいろな要因やきっかけがありましたが、国や公益のために課税を行う調査官としての立場以上に、苦労して築かれた一人一人のご家族の大切な財産をお守りし、適切に承継していくことのサポートをしていく仕事に社会的な意義を感じることとなったことが一つ理由の一つです。
国税職員から税理士というと、ある意味、真逆?の立場の仕事になったといえそうですが、以前の経験からどのようなことを重視されて取り組まれていますか?
まず、どの税理士に頼んでも、支払う相続税の金額は同じだろうと考えておられる方がおられれば、それは全くの間違いであると申し上げます。
税理士選びは重要だ、ということですね。
その通りです。難易度の高い不動産や非上場株式の評価や相続関連法令・通達に精通しており、毎年変わる税制度を的確に利用できる税理士でなければ間違いなく過大な税金を支払うことになりかねません。また、お亡くなりになられた方と相続人との生前の現金及び預金等の贈与の有無については、税務署から指摘を受けた場合、しっかりと反論を行い、反証を挙げなければ相続財産として加算され、これもまた過大な税金を支払う要因となってしまいます。当事務所では、相続人様の利益に繋がる適切な相続税の申告となるようしっかり対応させていただきます。
実務上、相続税で問題となりやすい典型的なケースなどがあれば、お答えいただける範囲で教えてください。
今でもやはり多いのが、いわゆる「名義預金」というものです。名義預金とは、亡くなられた方の名義ではない預金、例えば、配偶者、子、孫名義の預金ですが実質的には亡くなられた方の財産として、相続財産に含め、相続税の対象となる預金のことをいいます。
子供のために、子供名義で口座を作って親がそこに預金するという話はよく聞きますね。
表面上の名義ではなく、実質的に誰の財産であるのかを様々な物証、証言等から判断することとなりますが、税務署側に名義預金と認定され、相続財産に含めることとなった場合は当然支払う相続税の額が増えてしまうことになります。
また、「タンス預金」も問題になることが多いです。タンス預金とは預金口座に入金せずに、自宅になどに保管している現金をいいます。お亡くなりになられた日において自宅などに現金がいくらあったかというのは、証明することが難しいので多額の現金の保有が想定されればされるほど問題になるケースが多いです。
どちらのケースもしっかりと理論だてて相続財産に含めるものか否かを説明できるかが重要になりますので、しっかりと申告する前段階で対策すべき問題であると考えています。
誰の財産なのか曖昧に見えるものは、しっかり説明できる状況を作っておかなければならないということですね。ところで、相続税についてはどんなタイミングで税理士さんに相談するのがベターなのでしょうか?
相続税の申告には、①相続税が発生し、申告が必要な方、②相続税はかからないが、申告が必要な方、③申告が不要な方、といったパターンがございます。相続税の申告期限は、原則お亡くなりになられた日から10ヵ月以内になりますので、上記の見極めも踏まえ、相続が発生した段階でなるべく早くご相談いただくことをお願い申し上げます。
実際に相続が始まってしまうと、思った以上に期限までの日数が短かったという類いの話はよく聞きます。
更に申し上げますと、相続がまだ発生していない段階では、生前贈与や事業承継など、更に効果的な相続税対策を行うことが可能ですので、将来相続税がかかりそうとお考えの方は、一度ご相談いただくのがいいと思います。
どうしても後手後手に回りやすいのが相続対策かと思いますが、心配な場合は一度、早めに税理士さんへ相談しておくのがよさそうですね。最後に、相続税対策や相続税の手続きを不安に思われている方に対して、ひと言お願いします。
繰り返しになりますが、当事務所では、相続人様の利益に繋がる適切な相続税の申告を確実に行ってまいります。更には、税務調査対応においても、お客様の利益を最優先に考え、折衝、終結させることにより安心と納得をお届けする自信があります。
相続税の申告は辻税理士事務所に是非ご相談ください。
本日はありがとうございました。